ゲーオ氏の構え。肩甲骨が前上に出て、両肩で顎を守る。肘の角度は意外に小さい
構えの直前。肩甲骨の移動と肩の上昇は、まだしていない
孝真会にて、川嶋佑先生との練習(通算37回目)。
道場へ向かう電車の中で、内発動ストレッチを行ってきたので、課題としてきた技をシャドーで行うところから開始すると、先生がすぐに姿勢を「首が前傾して、顔が下を向いている」と指摘してくださった。
首は直立、顔は相手を正視し、肩甲骨を前に出すことによって、両手が前に伸びる。肘は直角を保ったまま。
精神的には、グローブをつけたパンチ、弱いパンチ、相手を倒すためではない練習用のパンチなどがくるのではなく、マイク・タイソンのパンチ、さらにはナイフなどの刃物で襲われることを想定して構え、動く。
通常のスパーで、弱い攻撃、安全な攻撃を想定した防御をしていて、いざ試合になって相手が倒す攻撃をしてきたら、即座に切り換えて受けることなどできない、と先生は主張する。練習に臨む態度の甘さを、鋭く射抜く言葉だ。
こうした先生の教えを実行できないまま、パムからのカウに限定したスパーに臨むと、自分勝手な外発動の攻撃で疲れ、甘い防御の隙をつかれて組み崩されるまま1ラウンドを終えた。
1ラウンド終了後、先生から改めて構えの重要性と、内発動で出すカウの方法を教えられて2ラウンド目に臨むと、首の取り合いの中でカウが自然に出て、組まれる場面が減った。「1ラウンド目はすごくダメでしたが、今度はすごく良くなりました」との評価をいただける。
パムからカウ限定のスパーは3ラウンド行って、次は自由スパー。
構えの意識を変えると、中丹田が自然に浮上する感覚があり、腕も脚も軽く動く。先生の攻撃を安易にもらう場面が減り、自分の攻撃はヒット率が上がった。特にテッサーイは「威力が強くなりました」と言ってもらえたのは実に嬉しい。
「この構えからの動きが試合でできれば大丈夫」と、先生から、試合に向けてのはなむけの言葉をいただけた。試合直前になって、構えという最も初歩的・基本的なところに立ち返り、この数十年、自分はいったい何をしていたのだ?との気持ちも起きるが、「構えができていて、他のことができない人はいない」とも言っていただき、構えによって攻めも受けも好循環になることを、攻防の中で自ら、そして先生の言葉からも実感することができた。
自由スパー6ラウンドを終了し、構えを内発動ストレッチで復習してみる。腕は前上へ、頭は後下へ引き伸ばしを行うことで、ムエタイの構えにますます近づく感覚を得た。
試合直前ながら、まだまだ多くのことを教えられ、学び、進化は続いていく。