直立した状態から
胸の位置を前に出して脚の力を抜くと、勝手に前進する
胸を前に出しているゲーオ・ウィラサクレック氏。ムエタイの身体操作も、人類の普遍的な運動の理に叶ったものだ
川嶋佑先生による内発動トレーニングは、超一流選手の分析と、そこから導き出される具体的な内発動トレーニングという段階に入りました。
今回は、ウサイン・ボルト、吉田沙保里、イチローなどの身体操作を解説してもらいましたが、最初に取り上げたボルトだけで次々に重要な理論が登場してきます。
特に、横隔膜を上げることにより胸を前方へ位置させると、身体全体が前進するという理論は、ここ数日、ゲーオ・ウィラサクレック氏の蹴りを動画編集しながらコマ送りで研究してきたことに対する明確な言語化となりました。
さらには「とかげ走り」と川嶋先生が名づけた走法は、腕を極限まで脱力させて肩甲骨の動きによって、腕を振るのではなく、腕が振られる動作であり、これは山田編集長が、ゲーオ氏が蹴り終わったとき、ダラリと腕を揺らすことを「スーダラ節」と冗談で表現したことにそのまま通じています。
短距離走の身体操作が、ムエタイの蹴りと多くの共通項をもっている。
私は、蹴りの指導をするとき、歩くように、と意識させていますが、走る動作が、より近い身体操作であり、蹴りの理解と修得に密接に関わってきます。
ムエタイの蹴り、というと、極めて特殊な運動という印象が強いのですが、そこには人間の運動として普遍的な理があることが導き出されたのです。