レッグガード2種。左の緑は頑丈な優れものです。右の布製も、日本製品より、しっかりした造りになっています
100バーツ(1バーツは約3円)以上もかけてやってきた道を戻るとするか。
そう思いながら通りへ向き直ると、向かいのビルを掃除していたおばさんが、こちらに向かって指をさしている。
ブザーを押せ、というジェスチャーだ。
そうか!「ขอบคุณครับ(ありがとうございます)」とおばさんにお礼を言って、ブザーを押す。
数秒後に赤い扉が開いた。
ああ、またしても天の助けを感じずにいられない。
若い男性の店員が現れ、2階へ案内してくれる。
あまり広くない店内だが、ひと通りの用品は揃っている。
今回はレッグガードのみ、しかも1組1000バーツ以内(!)を2組で総額2000バーツに抑える目標だ。
しかし、置いてある商品は相場と同じく平均して1600バーツ程度。
参考までにMサイズで
TWINS 1750バーツ
TOPKING 1650バーツ
Fairtex 1550バーツ
それぞれSサイズはマイナス50バーツ、Lサイズはプラス50バーツといったところ。
予算オーバーなので、「1000บาท มีี่ไม่(1000バーツのはないですか?)」と尋ねると「それはないですね」とそっけない答え。
他を当たるか? 予算総額2000バーツなのだから、1組だけにするか?
短時間に検討して、この店で1組だけを購入すると決意する。
さて、そこからは品定めだ。
まずは色。できるだけ珍しいものにしたい。
自分の誕生曜日色であるオレンジが最高なのだが、その色は置いてない。
あるのは、黒がいちばん多くて、他に青か赤。日本で入手できる物も、そんなところだろう。
色の他には、さまざまなデザインが施されているという違いがある。
緑が1点だけあったので、これに決定。
TOPKINGで1650バーツだ。
サイズ合わせを促され、試着しながら状態を入念にチェックする。
造りは非常にしっかりしていて頑丈だ。ベルトは金具を使用せず、二重にして強く締めつけることができる構造となっていて、スパーでの使用中に簡単にゆるんだり、ずれたりすることはないだろう。
正面部分は他のメーカーよりも厚くなっていて、この点では他より優れている。
余談ながら、厚くなっているところとの段差を利用して、スパーの相手をかえって痛めつけることができてしまうな、とも思う。
予定していた金額より大幅に高い買い物となったが、品は良いので、目的は達成したといえよう。
1650バーツを「1500になりませんか?」と尋ねたところ、まったく相手にされなかった(涙)。
店員が包装をし始めたところ、商品棚に目を向けると、布製のレッグガードが目に入った。
550バーツ。
頑丈さでは劣るが、これなら持ち運びが楽で、空手の人たちと練習するには適している。
これを購入して「2組」という目的は果たせる。
「これも一緒に買うから、2000バーツになりませんか?」と再度お願いすると、「パケットにしましょう」と言って2000ぴったりにしてくれた。ありがたい!
予定していた物とは異なるが、上限2000バーツの予算に収め、2組を購入できた。
大成功といっていいだろう。
店までの行程も、買い物自体も、実に楽しく行うことができ、しかも予算内に収めることができた。
天も人も地も、身の周りのすべてに助けられ、そして祝福されている気がして、感謝の気持ちで満たされる。
店員からは、会計の後、ナックムエ人形のついたキーホルダーと冷えたミネラルウォーターをプレゼントされ、1階に下りて、店を出る。
雨はすっかり上がっている。
これまでの経緯を振り返りながら、もらったミネラルウォーターを一気に飲み干す。
我ながら、良くやった。
単なる買い物、と言ってしまえば、それまでだ。
しかし、タイで新しい場へ踏み込み、目的としていたことを達成できた。
この経験は、すばらしい新たな思い出として人生に付加される。