ワンツーに対するテンカオのカウンター。演武者=私(笑)
功朗法は、反射を利用した技術です。
脳の指令なしで、人間が本能的に行う回避や防御の反射に要する時間は
0.1秒
これに対して、脳が命令をして筋肉が動く「随意運動」に要する時間が
0.2秒
功朗法は、反射と間合いの操作によって、敵の攻撃をつぶしていきます。
この原理は、競技にも応用がききます。
その最たる例として、
ワンツーに対するテンカオのカウンター
が明らかになる気がしました。
なぜパンチを先に出しているのに、パンチより短い武器であるテンカオがカウンターで決まるのか?
この理由については、さまざまな解釈はありますが、私自身、決定的な答えを得られずにいました。しかし…
随意運動と反射の時間差、そして間合い操作によって、ひとつの答えが導き出せます。
ワンツーは随意運動で、最速で0.2秒かかるとします。
これに対して、テンカオを無数の反復練習によって、反射の域に達しさせておけば、0.1秒で出せます。
時間的には半分ですから、ワンツーが先に出て仮に0.1秒出遅れても、テンカオと同時になります。
テンカオで、腕を使っていなかったら、極端にいえば、両腕を下げたままテンカオを出せば、パンチと同時に当たるのですから顔にヒットしてしまいます。
現実には、両腕を使って相手の顔へと伸ばし、古式ムエタイの受けで最初に学ぶポンの形になっていますから、相手のパンチは自分の顔からそれてしまうのです。
参考までに、ポンは、人間が本能で行う回避反射である「両手を伸ばす」動作そのものです。
つまり、テンカオは、本能による回避反射を手で行いながら、反射にまで高められたカオの攻撃を行っている技なのです。
次に間合い操作です。
ワンツーは前足重心で出します。
後ろ足重心も出せますが、威力はありません。
カオは、後ろ足重心から出すことができ、相手のパンチが顔に届く距離にいても、
重心を前足に移動
前足の踏み込み
腰の突き出し
これらによって、一気に間合いを詰めることができ、腕による防御が前提ではありますが、より長い武器であるパンチの間合いを破って膝頭を相手の腹部へ突き刺せるのです。
ワンツーに対するテンカオのカウンターは、本能的な反射と間合い操作を絶妙に融合させた技なのである、とひとつの結論としてみます。