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    相撲と首相撲
     祖父母の命日に近い11月23日、墓参りをしました。
     お墓の掃除も終えて、すっきりした気分で両親とお茶を飲んでいると、テレビで相撲中継が始まります。
     取組の最中、父が「双差しだ!」と言います。
     それまで、ぼんやりと見ていた私は、ムエタイのラットエウ(腰を抱える)じゃないか、と気づきムエタイの技を通して見始めました。
     もろ差しを取られた相手は、左腕を相手の右腕の内側へ差して、もろ差しを切ります。
     内側から差すのも同じだなあ。
     今度は、もろ差し側の力士が左肩を上げ、右手で相手の左腕を押しつけながらハンドル回しの動きで投げ、勝利しました。
     もろ差し、腕の内側に腕を差しての返し、片方の肩を上げ反対側の手を下げる崩し…、一連の技がすべてムエタイと共通していて、非常に興味深く見ることができました。
     ムエタイで、組むことや組み合ってカウの練習は「パム」と呼ばれるので、それらが日本では「首相撲」といわれることに抵抗がありました。
     しかし、こうして見ると、なるほど首相撲だ、と今さらながらに納得してしまいました。
     相撲の技には、ムエタイに応用できるヒントがたくさんある。
     そんな思いにかられています。
    | 原理 | 15:44 | - | - | - | - | ↑TOP
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      カウトロンとカウチェン、それらの性質と使い分け(フェイスブックでの質問に対して返答)
      かなり専門的になりますが、ご参考までに…。
      トロンは、その軌道上、膝中央の膝蓋骨で蹴ることになります。
      膝蓋骨は小さな骨ですから、大腿の全重量が乗ると、蹴っている人間にとっても危険があります。
      ボディへのカウは、実際には大腿骨の末端内側を当てています。
      この方が、打突部位はより小さな点になり、しかも大腿骨という大きくて重い骨の末端を突き刺すことになりますから、蹴られた相手への衝撃は強大です。
      この部位を当てるためには、軌道は必然的に斜め、つまりカウチェンとなります。
      スパーをやってみれば、テンカオをトロンで蹴ると、相手の膝で防がれたりして、うまく当てることができないことがわかるはずです。
      チェンの軌道でないと、大腿骨末端内側の攻撃部位をヒットさせるのは難しい。
      カウでボディを中心線から攻めるのは、今の時代はカウヤッサーイが主流になっています。
      ただし、顔面に当てるときは別です。
      手で相手の頭を下に下げても、あるいは本にも書いてあったように、つかまなくても相手の前進に合わせてカウトロンスーンで顔を蹴り上げることができます。
      もちろん、チェンの軌道は顔を蹴るにも適しています。
      攻撃目標、軌道、角度などによって、適した攻撃が変化し、それらはすでに体系化・分類化されていることですから、まずは頭で理解して使い分けることが必要です。
      | 原理 | 13:18 | - | - | - | - | ↑TOP
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        ミット連打で重要な動きは、上体の超高速戻し!を発見して喜び勇んだが、いざ言葉にしてみると…
         ムエタイと古式ムエタイに、仮説を検証する!という気構えで臨む。
         サーキットに続いて行われる膝上げ2分では、浮上を使って動く。序盤の60回で33秒かかったため、240回は無理かな?という気持ちで続けたが、終盤で急速にスピードが上がり、245回となった。
         ミットの階段蹴り。これが仮説検証の場だ。
         連打の数が増えてくると、落下による上体の崩れが蓄積して、極端にいえば崩れたまま蹴ることになる。それゆえ大腿四頭筋などの筋力や床反動の利用などが関与してしまう。
         ならば、落下による崩れを1回ごとに超高速で戻せばいい。
         これが仮説だ。
         実際に、超高速で戻す動きを1回ごとに行ってみると、かなり安定度が向上した。
         上体を戻す動きに必要なのは、腹直筋を主にした収縮で、これは「前の結合」と呼ばれる動きに等しい。
         連打の中で腹直筋を瞬間的に収縮して崩れを戻す。
         タイ人のほとんどは、ミット連打で、これを絶妙に行っているはずだ。
         腹直筋の瞬間的な結合を数十回続けることは、腹筋のウェイトレーニングとは異質の疲れと苦しさが伴うが、これこそ、中心軸ではない武術的なバランスを養成するために必須の鍛錬なのだ、と認識できた。
         ここから先は余談になるが、「極意を発見した!」と喜び勇んで、フル・コムの書籍やDVDを愛用してくれている向上心の高い人にミットを持ってもらい、中心軸の蹴りと相対軸の蹴りを比較して行って見せた後に、連打で上体を戻すことの重要性を説いた。
         すると、自分自身で、何だ、そんな簡単なことだったのか、と思えてしまう。言語にしてみれば、崩れた上体を瞬時に戻すことなど当然至極。自分が、がっかりしてしまったが、そんな当然のことができていないことも事実。言葉にしてしまえば、「当然」で「簡単」なことを、正確に実行できるよう練習だ。
        | 原理 | 19:28 | - | - | - | - | ↑TOP
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          ワンツーに対するテンカオのカウンターは、本能的な反射と間合い操作を絶妙に融合させた技

          ワンツーに対するテンカオのカウンター。演武者=私(笑)



          功朗法は、反射を利用した技術です。
          脳の指令なしで、人間が本能的に行う回避や防御の反射に要する時間は

          0.1秒

          これに対して、脳が命令をして筋肉が動く「随意運動」に要する時間が

          0.2秒

          功朗法は、反射と間合いの操作によって、敵の攻撃をつぶしていきます。

          この原理は、競技にも応用がききます。
          その最たる例として、

          ワンツーに対するテンカオのカウンター

          が明らかになる気がしました。

          なぜパンチを先に出しているのに、パンチより短い武器であるテンカオがカウンターで決まるのか?
          この理由については、さまざまな解釈はありますが、私自身、決定的な答えを得られずにいました。しかし…

          随意運動と反射の時間差、そして間合い操作によって、ひとつの答えが導き出せます。

          ワンツーは随意運動で、最速で0.2秒かかるとします。
          これに対して、テンカオを無数の反復練習によって、反射の域に達しさせておけば、0.1秒で出せます。
          時間的には半分ですから、ワンツーが先に出て仮に0.1秒出遅れても、テンカオと同時になります。
          テンカオで、腕を使っていなかったら、極端にいえば、両腕を下げたままテンカオを出せば、パンチと同時に当たるのですから顔にヒットしてしまいます。
          現実には、両腕を使って相手の顔へと伸ばし、古式ムエタイの受けで最初に学ぶポンの形になっていますから、相手のパンチは自分の顔からそれてしまうのです。
          参考までに、ポンは、人間が本能で行う回避反射である「両手を伸ばす」動作そのものです。
          つまり、テンカオは、本能による回避反射を手で行いながら、反射にまで高められたカオの攻撃を行っている技なのです。

          次に間合い操作です。
          ワンツーは前足重心で出します。
          後ろ足重心も出せますが、威力はありません。
          カオは、後ろ足重心から出すことができ、相手のパンチが顔に届く距離にいても、

          重心を前足に移動
          前足の踏み込み
          腰の突き出し

          これらによって、一気に間合いを詰めることができ、腕による防御が前提ではありますが、より長い武器であるパンチの間合いを破って膝頭を相手の腹部へ突き刺せるのです。

          ワンツーに対するテンカオのカウンターは、本能的な反射と間合い操作を絶妙に融合させた技なのである、とひとつの結論としてみます。
          | 原理 | 19:29 | - | - | - | - | ↑TOP
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