胸の回転を使った崩し。上半身と下半身が別方向を向き、ムエタイと共通する形となっている。
長丁場の撮影を終えて、記念撮影。
呉式太極拳・沈剛氏の撮影2回目。
30分に及ぶ漫架の野外撮影を無事終え、室内に移動して推手、漫架の各定式、実戦用法などを撮影。
実戦用法の中で、沈剛氏は、左胸から左肩を相手の胸に当てる靠(カオ)、そこから上体を左に切り返しての崩しを見せてくれた。
上体を左へ切り返す際、沈剛氏は骨盤を胸を回している。胸を回すことが決定的だ。
中国では、これを「腰を回す」と表現されるらしい。
日本人が「腰を回す」というと、骨盤を平行回転させる動きとなる。
中国武術の表現では、骨盤は「跨」(こ)と表現される。
沈剛氏は、骨盤を安定させたまま(これを「座跨」(ざこ)という)、胸を回しているため、上半身と下半身の向きに大きな差ができ、崩しを容易にしている。
日本人の多くは、骨盤を回してしまい、座跨をうまく使えていない。私もそうだった。
しかし、村井義治氏は、崩しの際、座跨を正しく使った虚歩の形をとっていた。できている人はできているのだ。
ムエタイの崩しでは、上半身と下半身が違う方向を向くことが重要になるが、これまで私は骨盤を回してしまっていたがゆえに、この動きができずにいた。
しかし、胸を回すことによって、骨盤から下は上体を別方向を向き、ムエタイ式崩しの形となる。
呉式太極拳を通じて、ムエタイに近づくことができるとは、予想外の大きな収穫となった。